首都圏外郭放水路【防災地下神殿】
この度の台風、皆様の地域は大丈夫でしたでしょうか。
磯部は都内某所におり風や揺れ、気圧による頭痛などで大変心細い思いはしましたが大きな被害を受けることなく見送ることができました。
災害大国と言われる我が国とはいえ、まさか情報マップがすべて赤いアラートになる日が来るとは…
情報を集めている中で、被災対策・避難方法の他に、ダムや遊水地などの洪水対策施設が次々に稼働しているとの話題が出てきました。
普段は公園や観光地として目にしていた場所が水で埋まっていく様は、正直怖くもあり痛々しくもあり…。
ですが遊水地としての役割もある各々の場所があり、有事の際の準備があったからこそ助かった人達の数は限りなかったのではないかと思います。
そして恐怖と感謝とが綯い交ぜの状態で居ても立ってもいられず…常々気になっていた通称『地下神殿』にお邪魔することにしてみました!(突然の衝動)
【防災地下神殿】とは
地域の治水施設である「首都圏外郭放水路 庄和排水機場」、中でも主に「調圧水槽」のことを指します。
台風等で地表で溢れそうになった河水を地下トンネルを通して集め、その流れてきた水の勢いを弱めて緩やかにして流すための巨大なプール。本当に巨大です。奥が見えない…!
写真は公式サイトより
特撮やドラマの撮影場所としても有名ですね。館内には撮影に訪れた沢山の皆様のサインも飾ってありました。最近だと『翔んで埼玉』のロケもあったそうです。
現場ではその役割や大事さをもっと広く周知するために定期的な見学会が開催されています。(要予約)
見学できるのはこの3ルート
- 迫力満点!立坑体験コース
- 深部を探る!ポンプ堪能コース
- 気軽に参加できる!地下神殿コース
今回お邪魔してきたのは「地下神殿コース(¥1,000)」、説明時間も含めて約一時間。
参加者には記念にこの外郭放水路カードと防災地下神殿ステッカーが貰えます!カッコいい✨
まずは二階で受付を済ませ、コインロッカー(無料)に荷物を預け身軽な状態でいざ!
最初に一階の市民ギャラリーに集合し、私達が現在いる位置と施設の全貌についてお聞きします。
この首都圏外郭放水路は、北春日部辺りから国道4号・16号の地下50メートルを貫き庄和排水機場まで繋がる、全長6.3キロメートルもある世界最大級の地下放水路です。
【右手より】
春日部市小渕にある第5立坑(たてこう)は大落(おおおとし)古利根川からの流入、第4立坑は幸松川から、第3立坑には倉松川・中川から、第2立坑は第18号水路から受け止め地下水路に送り込みます。そしてすべての河水が第1立坑へ。
施設内の撮影は可能。ですが狭い通路や高所であること、特に本日は設備稼働中であることから「落とさない、落ちない」の注意が再三ありました。確かに落としたら絶対に拾えない…
音声ガイドは喜多村英梨さんが担当されてます!(他言語ガイドもありますが英梨さんボイスは日本語のみです)
まずは龍Q館下の排水ポンプ設備へ。
【庄和排水機場 ポンプ設備】
25mプールを一秒で排水することが可能!すごい!そしてカッコいい。(パシリムを思い出す…)
建物の外でもゴーーー…ンンン(コーーー)という感じの軽い振動と音が聞こえていたのが、ぐっと近付いた感じ。でも煩いほどの音ではなかったのが意外でした。
臭いがツラかったら無理せず戻ってと言われていましたが、それほど気になりませんでした。基本的に雨水だからかな?
年間約7回稼働するそうで、今までに199回頑張ってくれているとのことでした。
【外郭放水路 調圧水槽】
普段は下まで降りられますがこの日は台風19号対応で施設稼働中のため、キャットウォークからの見学のみとなりました。
デカい…ちょっと遠近感が狂ってしまいそうな感じです。水が貯まっていますが水面までもかなりの距離があり、凪いでいて歩けそう…と思ったら。この状態で半分位の水位だとか。
小さく見える白い看板の位置が13m。それ以上まで貯まらないよう調整されるそうです。
距離感が掴めず写真を撮っていたのですがアップにしても白い看板が全然近付かない…。実際にはどれだけ離れてるんだ!と震えました。
台風15号の時は一日で水が引いたそうですが、今回は12日から解放された後も常に調整中で、現在(10/14 10:30)でもおおよそ6~7m。二階建ての建物がすっかり浸かってしまう位の高さですね。歩けないよ、溺れる!
【第一立坑(たてこう)】
螺旋階段で中へ。(第31前哨基地っぽい…)
この第一立坑には直接川から流れ込む道はなく、各立坑からの水が一旦集められ先程見た調圧水槽へ流れ込みます。
こちらが立坑側。
これが水槽側。オレンジのネットは私達が歩いたキャットウォークの手すり部分です。
この真下が水槽の取り込み口。
後から気付いたのですが、取水口の半分は水で埋まってますよね。めちゃくちゃ貯水されてる状態ですよね。
チラシより。
うわあ。私達が見ていた水面下はこんなに深かったのですね。
水が入っていない時に下から見上げるとこんな感じ。
立坑には日光が入り、完全に光がシャットされた水槽と違い苔や黴なども繁殖しています。じっとりと汗をかくくらいに湿気が高いです。
【見学会終了後】
龍Q館自体はそんなに大きな資料館ではないのですが、模型や映像でも施設の詳細を知ることができるようになっています。
地底体感ホールで観られるファンタジー色の強い資料映像はぜひ観てほしい…龍Q館の名前の元にもなっている「火伏の龍」に準えて紹介していて面白いです。
施設見学前の待ち時間にも観ることは出来るのですが、規模を体感した後に観ると余計に龍に準える気持ちが解る気がします。護られてる…護られてるよ…😢とちょっとグッときました。
(シンゴジを彷彿と…)
背景の操作室は見覚えのある人が多いのでは…!?
この日は朝日新聞さんの取材も入っていたようです。
【洪水防ぐ「地下神殿」4年ぶりフル活動 担当者ひやひや】10/14(月) 16:44配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191014-00000053-asahi-soc
ご年配の方からボーイスカウトで来ている子供達まで、沢山の方々が来館されていました。
このような疑似体験アプリもありましたが、昨日今日で見学した我々はアプリを使うまでもなく洪水時の様子を拝見してしまったということですね。ものすごくレアな体験ができました。
短時間とはいえ本当に貴重で楽しい時間を堪能させていただきました!次は立坑体験コースにチャレンジしてみたい…
普段あまり目にすることはないけれども、大事な役目を担っている各施設の頑張りをこの目に焼き付けました。強行軍でしたが拝見できて良かったです。
最後に。被害を受けた皆様がどうか早く通常通り生活ができますように。
館入口には土嚢がまだ置かれていました。
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首都圏外郭放水路【見学予約】
春日部駅から路線バス(20分)の辻橋停留所で降車、更に徒歩20分のルートで向かったのですが、どうやら30分に一本の割合で春日部駅東口・南桜井駅からもイオン経由のバスがあるようです。帰りはそちらを利用しました。
車だと都内からでも一時間強くらいで行けるそうなのでそちらがおすすめかも。
放水路さんは頑張ってましたよ~~~!!
ぜひぜひ皆様も地下神殿や立坑を見に行ってみてください!